ご依頼の経緯
茨城県水戸市で、土木工事業を営んでいる建設業者様からのご相談です。
元請から建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録を求められ、まずは自社で手続を始められました。
事業者登録については、調べながら何とか登録することができたそうです。
ですが、次に従業員の技能者登録を進めようとしたところ、
「従業員一人ひとりについて入力する内容が細かく、何をどこまで確認すればよいのか分からない。」
と、手続が進まなくなってしまいました。
そこで元請へ相談したところ、
「建設キャリアアップシステムに詳しい行政書士へお願いした方がよい。」
とアドバイスを受け、当事務所をご紹介いただいたことがご依頼のきっかけです。
担当者からのメッセージ
9名分の技能者登録。まずは一人ひとりの情報を整理
今回、技能者登録の対象となったのは9名の従業員さんでした。
CCUSは、技能者の資格や現場での就業履歴などを登録・蓄積し、その技能や経験に応じた処遇につなげていくための仕組みです。技能者情報として、本人情報だけでなく、保有資格や社会保険加入状況なども登録されます。
そこで、まず9名一人ひとりについて、
• 本人確認書類
• 社会保険関係の書類
• 健康診断の受診状況
• 保有している資格者証、講習修了証等
などを収集しました。
同じ会社に勤務する従業員さんであっても、保有資格やこれまでの経験などは一人ひとり異なります。
書類を一つずつ確認しながら、それぞれの技能者について必要な情報を整理し、技能者登録を進めました。
書類を確認していると、「登録だけではもったいない」ことが分かりました
今回、当初ご依頼いただいたのは9名の技能者登録でした。
ところが、一人ひとりの資格者証や経験などを確認していくと、実務経験を積み、能力評価に必要となる資格をすでに保有している技能者が複数いることが分かりました。
そこで、
「この方たちは技能者登録だけで終わらせず、能力評価を受けてレベルアップをしておきましょう。」
と、当事務所からご提案をさせていただきました。
CCUSでは、技能者の経験や資格等に応じて能力評価を行い、レベル1からレベル4までの4段階で技能・経験を評価する仕組みがあります。
技能者登録を「登録すること」だけで終わらせるのではなく、これまで積み重ねてきた経験や取得した資格を、客観的な評価につなげることができます。
8名について能力評価を申請
9名の技能者登録を完了したうえで、その内8名について能力評価を申請することになりました。
能力評価の申請にあたっては、改めて一人ひとりについて、
• 実務経験証明書、実務経験を証明するための資料
• 保有資格状況
• 班長・職長としての経験
などを確認し、それぞれの技能者がどの評価区分に該当する可能性があるのかを整理しました。
能力評価は、国土交通大臣が認定した職種ごとの能力評価基準に基づき、それぞれの能力評価実施団体によって行われます。
結果は、8名中7名がレベル3以上に
能力評価の結果は、
• レベル2(青):1名
• レベル3(銀):5名
• レベル4(金):2名
となりました。
能力評価を申請した8名のうち、7名がレベル3以上、そのうち2名がレベル4という結果です。
もともとは、
「技能者登録をどう進めればよいのか分からない。」
というご相談から始まった今回の手続。
ですが、一人ひとりの経験や資格を整理して能力評価まで進めたことで、会社の中にこれまで経験を積み重ねてきた技能者が数多く在籍していることが、目に見える形になりました。
レベル判定は、技能者だけでなく会社にとっても意味がある
能力評価は、技能者本人の技能や経験を客観的に示すだけのものではありません。
今回の建設業者様は、毎年、経営事項審査(経審)も受けられています。
現在(令和8年7月時点)の経審では、技能者の能力向上に関する評価がされており、審査基準日前3年間に能力評価の区分が1以上向上した技能者を「技能レベル向上者」として評価する仕組みとなっています。
そのため、今回能力評価を受けたことだけで直ちに経審の評点が上がるということではありませんが、技能者の能力評価を行い、その後のレベル向上につなげていくことは、今後の経審対策を考えるうえでも重要な取組の一つになります。
また、CCUSの能力評価は、技能者の処遇を考える際にも活用が進められています。
国土交通省では、CCUSの能力評価に応じた賃金の実態等を踏まえ、「CCUSレベル別年収」を公表しています。これは法的に支払いを義務付ける金額ではありませんが、技能者の経験・技能に応じた処遇を考える際の一つの参考となるものです。
つまり、能力評価はカードの色を変えることが目的ではありません。
技能者がこれまで積み上げてきた経験や資格を評価し、それを会社として人材育成や処遇、今後の経審対策へどう活かしていくか。
そこまで考えて活用していくことが大切です。
「自社にこんなに有能な技能者がいたんですね」
能力評価の結果をお伝えすると、建設業者様から、
「技能者登録をすること自体ままならなかった中、レベル判定を受けたことで、自社に有能な技能者がこんなにたくさんいることを改めて実感しました。」
とのお言葉をいただきました。
さらに、経審を受けられているということもあり、
「これが今後、経審での評価にもつながっていくのは嬉しいですね。」
とお喜びいただきました。
今回、技能者登録のために9名一人ひとりの書類を確認したことが、結果として会社が自社の人材の強みに気付くきっかけにもなりました。
CCUSへの登録を、次の取組につなげる
今回のご依頼は、元請からCCUSへの対応を求められたことから始まりました。
もし技能者登録だけを行っていれば、9名分の登録が完了した時点で手続は終わっていたかもしれません。
ですが、登録のために集めた書類には、それぞれの技能者がこれまで積み重ねてきた経験や資格の情報があります。
その内容を確認したことで能力評価をご提案でき、8名のレベル判定へとつなげることができました。
現在は、CCUSの管理だけでなく、経営事項審査や建設業許可についても継続して当事務所でサポートしております。
CCUS、経審、建設業許可は、それぞれ別の手続ではありますが、実際の建設業者様の経営の中では互いに関係する場面があります。
一つの手続だけを見るのではなく、そこで確認した情報を、次に会社が取り組めることへつなげていく。
今回の事例は、技能者登録をきっかけに、会社が持っている人材の力を改めて確認し、次の取組へつなげることができた事例となりました。
お客様の声
元請からCCUSへ登録するよう言われ、事業者登録までは自分たちで何とかできましたが、従業員の技能者登録は細かく、自社で進めるのは難しいと感じていました。
冨田さんにお願いして9名分の書類を一人ひとり確認してもらったところ、技能者登録だけでなく、「この人たちはレベル判定まで受けておいた方がいいですよ」と提案していただきました。
結果を見て、自社には経験や資格を持った有能な技能者がこんなにたくさんいるのだと改めて実感しました。
経審にもつながる取組になると聞き、とても喜ばしく思っています。
今ではCCUSだけでなく、経審や建設業許可についてもまとめてお願いしているので、何かあれば相談できるという安心感があります。