ご依頼の経緯
茨城県水戸市で建築・土木工事業を営む法人の事業者様からのご相談です。
10年以上にわたり、特定建設業許可のもと安定して事業を継続されていました。
今回、建設業許可の更新時期が近づいていたことから、当事務所より月次状況の確認を行っていたところ、
「現在の決算内容で、特定建設業許可を維持できるのだろうか」
という点について確認が必要な状況となりました。
事業者様としては、
・更新時に問題になるのか
・税理士からは特に指摘を受けていない
・建設業法上、どのような基準で判断されるのか分からない
といった不安を抱えておられました。
そこで、現在の財務状況を整理しながら、特定建設業許可の維持要件について確認を進めることになりました。
担当者からのメッセージ
特定建設業許可を取得するためには、一般建設業許可よりも厳しい財産的基礎の要件を満たす必要があります。
そして、この要件は許可取得時だけではなく、
更新時においても確認されます。
特定建設業に求められる財産的基礎要件
特定建設業では、次のすべての要件を満たす必要があります。
・欠損の額が資本金の20%を超えないこと
・流動比率が75%以上であること
・資本金が2,000万円以上であること
・自己資本が4,000万円以上であること
なお、
自己資本とは、法人の場合、貸借対照表の「純資産の部」の「純資産合計」の額をいいます。
また、欠損の額とは、法人の場合、貸借対照表の繰越利益剰余金が負である場合に、その額が資本剰余金、利益準備金および任意積立金の額の合計を上回る額をいいます。
「黒字だから安心」とは限らない
実務では、
「黒字だから問題ないと思っていた」
というご相談をいただくことがあります。
ですが、建設業法上の財産的基礎要件は、
単に利益が出ているかどうかだけではなく、
・貸借対照表の構成
・自己資本の状況
・流動比率
などを含めて判断されます。
そのため、
税務上問題がなくても、建設業法上は注意が必要となるケースがあります。
税務と建設業法は同じではない
今回のケースでも、
税理士事務所からは特段の指摘はなかったものの、
建設業法上の観点から確認を行ったところ、
・欠損の額
・流動比率
について慎重に判断が必要な状況でした。
税務と建設業法では確認するポイントが異なるため、
税務上問題がないことと、建設業許可上問題がないことは必ずしも一致しません。
今回の対応内容
今回のケースでは、
・特定建設業の財産的基礎要件の確認
・一般建設業との違いの説明
・将来的なリスクの整理
を行いました。
その結果、
現在の決算月のまま更新申請を行った場合、
特定建設業許可の維持に影響が生じる可能性がある
ことが分かりました。
そこで、
・税理士事務所との連携
・財務状況の整理
・決算月変更の検討
を進め、最終的には、
決算月を変更したうえで、特定建設業許可維持に向けた体制整備
を行いました。
特定建設業は「維持」にも注意が必要
特定建設業許可は、一度取得すれば終わりというものではありません。
特に、
・更新
・業種追加
・経営事項審査(経審)
・大型案件への対応
などを見据える場合には、
継続的に財務状況を確認していくことが重要です。
実際には、
「知らないうちに要件ギリギリになっていた」
というケースも少なくありません。
今回の結果と今後の体制
今回の整理により、
・改善方針が明確になった
・将来リスクを事前に整理できた
・管理体制の強化につながった
ことで、安心して今後の事業計画を進められる状態となりました。
特定建設業許可は、会社の信用や受注体制にも大きく関わる重要な許可です。
だからこそ、
「更新時に確認すればよい」
ではなく、
日頃から継続的に状況を確認していくことが重要になります。
当事務所では、
・特定建設業の財産的基礎要件確認
・税理士事務所との連携
・経営事項審査
・決算変更届
・建設業許可の維持管理
など、建設業許可に関する実務を継続的にサポートしております。
「今の財務内容で問題ないのか」
「将来的に特定建設業を維持できるのか不安」
といった段階でも問題ありません。
会社を守るための事前確認として、早めのご相談をおすすめいたします。
お客様の声
更新時期が近づいていたため確認をお願いしたところ、建設業法上の財産的基礎について詳しく説明していただきました。
税理士事務所からは特に指摘はなかったため、建設業法上も問題ないと思っていましたが、建設業では確認する視点が違うことをあらためて知りました。
今回、更新ギリギリではなく事前に整理していただいたことで、今後の事業方向性やリスクになる点などが明確になり安心しました。
自社の顧問税理士と連携をしてもらい、決算月変更を含めた対応もサポートしていただき、無事に特定建設業許可を維持することができています。
今後も継続して相談していきたいと思います。